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生きのびるためのお直し

アポロ13号は、宇宙に飛び出して故障しました。いまみなさんが置かれている社会状況と同じように、故障したのです。(中略)それをこの宇宙飛行士たちは、ハイテクではなくガムテープとかセロテープみたいなもの、それから薬箱にあるような道具で宇宙船を直して地球に帰ってきたのです。(中略)『手仕事をする人』は、ハンドメイドとかそれだけを言っているのではない。情報というものをベースにして、やはり人間の尊厳というものは手で作る、手で修繕することでしかありえない。そのことを、この事件は世界モデルとしてよく示しています。」

 

ベトナムホーチミンに行ったとき、四つ辻で自転車やオートバイを分解して修理する人たちがたくさんいました。おそらく、みなさんはいま、現実には自転車さえも修理できないでしょう。(中略)電気洗濯機もテレビも、故障したら買い換えるしかない。我々は修理ができないものを使わされている。我々は修理できない人種に退行しているのです。これは用心しないといけない。典型的な大量生産、大量消費の自閉サイクルに入り込んでいることを自覚しなければならない。」

 

石山修武『生きのびるための建築』2010年